尖閣諸島の戦略的重要性

in #japan4 years ago

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各国が新型コロナウイルスへの対応に追われる中、その隙を突くかのように、中国が海洋進出を活発化させている。

沖縄県の尖閣諸島では、中国海警局の船団が2か月以上にわたって一日も欠かさず周辺海域に現れている。

中国の攻勢は明らかに新たな局面に入っているが、それは必ずしもコロナ危機のせいだけではない。背後には、はるかに長大な中国の戦略がある。尖閣諸島での中国の活動を分析し、日本の対応を考える。(解説委員 津屋尚)

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尖閣諸島は、魚釣島、久場島、大正島などからなる東シナ海の無人島群だ。最も大きな魚釣島は沖縄本島から約410km、石垣島からでも約170km離れた絶海にある。

中国がこの海域の支配をねらう大きな理由は、防衛ラインとみなす「第一列島線」のすぐそばという戦略上極めて重要な位置に尖閣諸島があるためだ。「第一列島線」とは、九州から沖縄本島などを経て台湾、フィリピンに至る島々の連なりだ。

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地図をふだん見慣れた角度ではなく、中国大陸を下にして中国の視点から見てみよう。第一列島線は、中国が自国の内海とみなす「東シナ海」と外洋である「太平洋」を隔て、まるで中国にふたをして太平洋への進出を妨げるように見える。

中国が太平洋に進出するには必ず、第一列島線のどこかを通過せねばならないわけだが、列島線沿いの島々はどれも、日本や台湾などの手にあり、中国が支配する島は1つもない。

そこで中国は、太平洋に出入りするルートに近く、わずかに東シナ海側に位置する尖閣諸島を支配することで、海洋進出を加速させるための「くさび」を打ち込もうとしていると考えられる。