分類学2
uma58です。
引き続き、生物分類学のお話です。
前回は、生物の特徴を記して名前を付ける「α分類学」についてお話ししました。
α(アルファ)ときたらお次はβ(ベータ)ということで、今回はβ分類学についてです。
画像元:yen0suke様 https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=1150057
「分類」には、
同類のものをまとめ、全体を幾つかの集まりに区分すること
という意味がありますが、β分類学はまさにこの意味通りの作業を行います。
ただし、生物の分類学では、この「まとめかた」にルールが存在しています。
それは、近縁性(進化的に近いかどうか)を基準にまとめることです(系統分類学)。
共通の祖先から進化してきた枝分かれの歴史、それを反映したグループ分けを行い、進化の歴史を追い求めることが、β分類学の目的なのです。
単に似た生物をまとめるだけなら、鳴くムシ(バッタ、セミ)、泳ぐ生き物(タコ、イルカ、サメ)のように、いろいろな分け方があるでしょう。
しかし、進化の歴史考えるならば、まとめ方は慎重にならなければいけません。
同じ鳴く虫でも、バッタは翅や肢をこすり合わせて音を出すのに対して、セミは腹の筋肉を使って音を出すように、音を出すための方法は全く違っており、当然ながら進化してきた歴史的経緯も異なります。
そのため「鳴くムシのなかま」というようなまとまりは、進化の歴史を反映しておらず、系統分類学としては不適当なまとまりといえます。
高校で生物を選択した人は、「五界説」という生物のまとまりを聞いたことがあるかもしれません。
現在の生物は、五界:「動物界」「植物界」「菌界」「原生生物界」「原核生物界」というまとまりに分けられるという説です。
しかし、原生生物界は雑多な真核生物がまとめられている側面が強く、前述の「進化的歴史」を反映したまとまりとは言えません。実際、原生生物界には他の界の生物との祖先関係が判明しているもの(緑藻類と今の陸上植物など)もあり、系統関係を考えた場合、五界説は不適といわれています。
現在はDNAの塩基配列を用いて進化の歴史を考える、「分子系統学」が進められており、見た目や特徴からは判断できないような生物も整理することが出来るようになりました。これによって旧来の生物の特徴に基づいたまとまりが不適当と判断されることも多く、生物のまとまりの再検討・再編が日夜行われています。
それでも、いまだにどの生物と近縁なのかいまいち分かっていないだとか、「光合成をおこなう生物」の進化の歴史に複数の説があったりと、謎は尽きません。
私が老いる頃には、生物のまとまりがどのように変化していることやら...。
そんなこんなで今日はおしまい!
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